この数週間はお手伝いのスタッフにおやすみをお願いして、一人作業をしていた。本当なら紙の本を読みたいのだが、そんな時間があれば陶芸しないといけないのでオーディブルでがまん。
最後に読んだ(あ、聴いたと言う方が正しいのか)「ザリガニの鳴くところ」が印象的だった。ヘッドホンで聴きながら一人作業していると、シンとした深い海のなかにひっそりいるような気持ちだった。気がつけば何時間も経っている、そんな日々もとても好きだ。
「ザリガニの鳴くところ」はノースカロライナの湿地に孤独にひとり暮らす少女の成長と殺人事件の交差する話。湿地や湖や自然の表現がとても美しく、その景色や虫や動物の細かな描写が素晴らしかった。アメリカの自然保護論者であり動物学者である筆者が69歳の時に書いた初めての小説だそう。読了してから何日も経っているのにまだその世界への余韻が消えない。
そして近所を散歩していて、小説のなかの景色の破片みたいなのを見つけてグッときた。